ある散骨の事例

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ある日の夕刻、一通のメールが届きました。

 

奥様を亡くされたご主人さまからのメールで、

奥さまの遺言で 「遺骨は瀬戸内海に散骨してほしい」 とのこと。

ご主人は「ちょうど四十九日の日か、その翌日に散骨したいと思っているけど、

そんな都合よくいくでしょうか」 と少々お悩みのようです。

さっそくお電話をし、詳しくお話を伺うことにしました。

 

ご夫婦とも関東の出身なのですが、

お仕事の関係で数年前に瀬戸内の街に引っ越してこられました。

お二人とも美しい瀬戸内海を大変気に入られていました。

 

「老後もこの美しい瀬戸内の街でのんびりしよう」

そんな矢先、奥さまが病に倒れられました。

病院での診察を受けた時には既に手遅れの状態で・・・

ご家族皆さんの悲しみは、言葉には出来ないものがあったでしょう・・・

 

「瀬戸内海への散骨は家内の遺言でね・・・ あ、それと誠に厚かましいお願いなんですけど、

愛犬の遺骨も一緒に散骨してやりたいんだが・・・ 2匹いるんだけど」

ご主人はお話をされました。

「大丈夫ですよ。大切にされていたワンちゃんも、奥さまと一緒にお送りしましょう」

 

さっそく船の手配を済ませ、その後ご主人とお話しながら、

奥さまの大好きだったお花・飲み物と音楽のBGMでお別れするプランを立てました。

ご遺骨はパウダー化し水溶性の袋にお納めしますが、この袋には文字や絵が書けます。

ご家族皆さんの想いやメッセージを書いていただくことにしました。

 

散骨前日、ご自宅に最終打合せとご遺骨のお預かりに伺いました。

あと気になるのは天候だけです。天気予報では晴れなので安心はしていますが、

自然が相手です。後はお祈りするのみです。

 

そして散骨当日。皆さんの気持ちが通じたのでしょう。

梅雨の中休みのようで、とても良いお天気です。

私も出航1時間前には港に到着し、船長・クルーとともに打ち合わせを済ませました。

 

そして桟橋で皆さんをお出迎えです。

ご主人と息子さん・娘さん等計5名の乗船です。

目的地店までは約30~40分。

皆様には船内で思い思いにお過ごしいただきました。

 

皆さん船の後部デッキに立ち、

瀬戸内の美しい風景に感動されているようです。

青い空と蒼い海。そして過ぎゆく島々の景色・・・

 

そろそろ散骨地点に到着です。

船もエンジンの回転を下げ一旦停船。

「ボーッ」 と霧笛が鳴り響きます。

揺れを感じさせないよう船は微速で前進し始めました。

 

いよいよお別れです。

ご家族皆様が、奥さま・お母様そしてワンちゃんへの想いを胸に、

この大海原へお送りします。

船内には奥さまが大好きだった音楽が流れています。

皆思い思いの言葉で最後のお別れをなさいました。

大好きだった、色とりどりのお花とともに、ご遺骨が海へと流れてゆきます。

 

さようなら ・ ・ ・

黙とうの後、再び霧笛が鳴り響きました。

船はゆっくりとゆっくりと、このお別れした場所を旋回します。

 

「さようなら ・ ・ ・」

奥様とワンちゃんたちは、この大海原へ還ってゆかれました。

 

しかし皆さんの表情には暗さはありません。

何か開放的な明るさと、達成感のようなものが感じられます。

 

遠ざかる景色。 そして船のスクリューが巻き上げる波しぶきと軌跡。

 

「オレの時も頼むよ」

ご主人の感慨深い海へのまなざしが印象的でした。

 

海洋散骨のブルーマイルゥー

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